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「姿勢が悪い」とは重力に適応できない「機能低下」

姿勢について学び始めて18年目に入りました。姿勢が悪いことで、頭痛や肩こり、腰痛や膝痛など体の痛みを感じるリスクが増えることがわかっています。また前かがみ姿勢を続けることで、肋骨など胸からお腹周りのスペースが圧迫され、呼吸が浅くなったり、逆流性の胃腸障害などにもなりやすいことがわかっています。他にも背骨の曲がりが強くなったり、逆に少なくなったり、横に曲がったりすることで、脳から出た神経の通り道を狭くしてしまうことで神経系の問題も引き起こしやすくなると考えられています。

つまり、姿勢が悪いと良くないことがいっぱいある。単純化するとそうなります。
そのため姿勢を良くしたいと思うわけですが、意識したときは背筋を伸ばせても、気づいたら元通りという経験がおありの方は多いのではないでしょうか?
意識が足りないのでしょうか?
筋力が足りないのでしょうか?
可動域が十分ではないのでしょうか?
遺伝だから仕方ないのでしょうか?
どれもありうるのですが、私は「使うべき部位が使えていない」のだと考えています。その部位とはインナーユニットと呼ばれる深層の筋肉や組織で、具体的には横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群を指します。(以下、インナーユニット)

それは筋力が足りないのではなく、使えていない状態です。だから基本的には筋肉はありますが、ホコリをがかぶっていて使えない状態をイメージしてもらうとわかりやすいでしょうか?そして深層にあり安定して長い時間働き続けることが求められる筋肉のため、ジムでのトレーニングなどでの強い刺激では効果的に鍛えることが難しい点です。
筋肉が働くためには、短くなりすぎても、伸ばされすぎても働きにくくなります。そして、適切な長さが保たれていることが筋肉が働く条件になります。しかし、背中が丸まり、胸とお腹が押し潰されたような姿勢になると適切な長さを保つことができません。それによりインナーユニットの働きが鈍り、うまく使えない状態となり、それを補うために、アウターユニットと呼ばれる外側の大きな筋肉が働くことで補おうとします。

しかしアウターユニットは筋肉自体が大きく長いため、当然ながら消費エネルギーも大きくなり結果として良い姿勢をしていると疲れやすいということが起きてきます。それに比べてインナーユニットは体を大きく動かすことは不得意ですが、安定させることが得意です。そして、消費エネルギーも少なく済むわけで効率的な体の使い方となるわけです。
そしてインナーユニットが働かなくなってくると姿勢を安定的な低エネルギーで保つことが難しくなるために姿勢が崩れ、結果として胸郭内部の心臓、肺、胃腸などの臓器が物理的な圧迫を受けることで悪影響を生じている。ということであると私は考えています。

地球上では自分の体を立たせるためには、重力に打ち勝つ必要があります。そして重力に打ち勝つために最も省エネルギーで効果的なものが、体幹部のインナーユニットを働かせて胴体部分をまっすぐに保つことであると考えています。胴体部分には脳から出ている脊髄神経を守っている背骨もあるため、体幹部が潰れるということは背骨も曲げられ、脊髄神経にも不要な刺激が加わることになります。その神経への悪影響は、有名な坐骨神経痛や椎間板ヘルニアなどによる手足の痺れや痛みが起こることからも想像しやすいと思います。

そのため最初の問いに戻ると、
意識が足りないのでしょうか?→インナーユニットへの意識が足りないのは事実です。しかし一般的に気をつけようと姿勢を良くした時には、外側にあるアウターユニットの筋を使うためすぐに疲れてしまうためそれを続けることは現実的ではありません。
筋力が足りないのでしょうか?→インナーユニットの筋肉が使えない状態であるため、使いやすくなるように弱い刺激で促通してあげる必要があります。重りなどを用いた筋力トレーニングでは主にアウターユニットの働きが強くなってしまうため、効果的ではありません。
可動域が十分ではないのでしょうか?→そもそも十分な可動域を持ち合わせていない場合は、良い姿勢をしてくださいと指示をしても十分に取れない場合があります。高齢者の場合などは多く当てはまりますのでそれは別で記載しますが今回のケースは良い姿勢をとってもすぐに元通りということですので可動域の問題は少ないと考えています。
遺伝だから仕方ないのでしょうか?→骨格や筋肉の特性などの遺伝要素はあると思いますが、インナーユニットの促通、活性化を行うことは誰でもできます。変えられない部分=遺伝的要素に注目するよりも、変えられる部分=インナーユニットの活性化に集中することで、良い体づくりが行えると考えています。

もちろん、上記のインナーユニットを活性化することだけでねこ背などの不良姿勢を解消できるわけではありませんが、重要な要素であることには間違いありません。それはヨガやピラティス、坐禅や瞑想からラジオ体操をはじめとした各種体操などでも呼吸の重要性は高く、それらは横隔膜を含めてインナーユニットの活性化につながることであると私自身は捉えています。
重力に打ち勝つために、大きな瞬発的な筋肉よりも小さく持続的な筋肉であるインナーユニットを活性化させること。またそれらが行えないのは、インナーユニットの機能低下であることをお伝えしました。こうした日々の気づきが皆様の姿勢を考えるきっかけとなれば幸いです。最後までお読み頂きありがとうございました。
